こんにちは!QAエンジニアとして働いているひとみと申します。
同僚の@_a0iさんからお声がけいただき、私が未経験からQAエンジニアになるまでの過程を書いてみることにしました。
(自信が持てずにくずくずしていたら、依頼から半年以上も経ってしまいました…あおいさん、本当にすみません…)
はじめに
QAエンジニアって?
初めて聞いた人もいるかもしれないので、QAエンジニアについて簡単に説明します。
QAは「Quality Assurance(日本語では品質保証)」の略で、QAエンジニアは製品開発に品質面から関わる職種です。
具体的な仕事内容は業界や会社によって異なりますが、私の場合は担当しているソフトウェア製品の仕様策定やテストに携わっています。
業務でコードを書くことは今のところありませんし、私はほとんどコードを書けませんが、プログラマと一緒に仕事をしています。
またプログラマの他に、要件を決めるプロダクトマネジャー、デザインを決めるUX/UIデザイナー、画面文言やヘルプを担当するUXライターとも一緒に仕事をしています。
未経験とはどういう意味?
情報学系専攻ではないこと、またIT業界で働いたことがないことを指して未経験と表記しています。
私は最初に書いた通り、未経験からQAエンジニアになりました。大学では生物学を専攻し、食品メーカーで研究開発の仕事に就き、ブラウザやサーバーの意味すら知らない状態で今の会社に入社しました。
自分の経歴が誰かの参考になれば嬉しいです。
私がQAエンジニアになるまで
幼少期〜小学校
読書とゲームが好きで、幼稚園生の頃からピコやゲームボーイで遊んでいました。
小学校に入学してしばらく経った頃、父がデスクトップパソコンを買ってきました。タイピングソフトで遊んだり、友人とメール交換をしたり、ブラウザで「おもしろフラッシュ倉庫」の動画を見たりしていましたが、パソコン一筋にはならず、主にゲームや外遊びをして過ごしていました。
4年生になると友人たちが中学受験のために塾へ通うようになり、一緒に遊べる時間が減ってしまいました。
寂しさもあり、塾がどんなところか気になって体験授業へ行ったところ、初めて全く内容が分からない授業に出会いました。難しいことを知るって楽しい、もっと知りたい、と好奇心が抑えられなくなり、中学受験をさせるつもりのなかった親に懇願して5年生の5月から塾に通い始めました。
ちなみに当時は中学受験について何も考えておらず、親も「嫌だったらすぐ辞めていいんだよ」と言っていました。6年生くらいでやっと「自分は中学受験というものをするらしい」と気づいたのですが、まあこれも運命かな〜と軽く考えて受験を決め、家から一番近い中高一貫校に進学しました。
中学、高校
校則の厳しい学校でしたが、気の合う友人たちと一緒に楽しく過ごしていました。
高1の終わりにNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出ていた医師を見て「これだ!!」と思い込み理系を選択しましたが、苦手だった数学の点数と国公立医学部のレベルを比べて「無理だ…」と悟り早々に諦めました。
一番好きな授業が生物だったことから、医学部から理学部生物学科へ志望を変え、合格した国立大学に進学しました。
ちなみに、情報学系は選択肢にありませんでした。
情報の授業に生物ほどの興味を持てなかったこと、将来の職業よりも学問への興味を優先して学部を選んでいたこと、一番の苦手科目が数学だったので工学部は無理だと思っていたこと等が理由だったのかなと今は思っています。
大学〜大学院
たくさんの授業や実験、分厚い専門書、フィールドワークなどの実習などを通して、生物学のおもしろさに夢中になりました。
アカデミックの研究者を目指して大学院に進学しましたが、教授を始めとしたラボのメンバーや学会で出会った人たちの優秀さに「自分が研究者になるのは無理だ」と悟り、前期課程(修士)で就職することにしました。
生物学の知識を活かして人々の日常を支えるような製品をつくりたいと考え、日用品や食品の研究開発職を志望して就職活動をしました。日用品や食品の業界は女性も多いから安心して勤め続けられそう、という考えも志望理由の1つでした。
研究と就職活動の両立は、体力的にも精神的にも大変でした。ESや面接が通らないことが続き、不安でなかなか眠れなかったり、朝方に目が覚めて泣きながら朝日を見たりした日もありました。
最終的には2社から内定をもらい、悩んだ末に食品メーカーに就職を決めました。
食品メーカー
入社後は全体研修の後、全国の工場をまわる技術職研修に参加しました。
技術職研修では、自分が女性であることを意識させられる場面が多かった気がします。重いものを持ち上げられなかったり、男性しかいなくて寂しい思いをしたり、不規則な勤務のせいで生理周期が乱れたりと、色んな事がありました。
その後研究開発部に配属されました。研究開発部は女性も多く、やっと技術職で働く女性に出会えた!と安心しました。嬉しかったです。
毎日試作と試食を繰り返す仕事はおもしろく、同僚にも恵まれ、天職かもしれないとわくわくした日々でした。一方で、いつ転勤を言い渡されるか分からない立場に不安を覚えたり、プライベートで変化があったりと、勤め続けることに迷いもありました。
そしていろんなタイミングが重なり退職しました。
無職+転職活動
退職後、1年ほど無職でした。今の夫であるパートナーと同居を開始したので、パートナーの収入と自分の貯金で暮らしていました。
ハローワークで「再就職は早いほうがよい」と話されても精力的に活動する気になれず、「自分はダメ人間だ、もう二度と就職できないかもしれない」と沈んだ気持ちで自分を責めながら、2〜3ヶ月に一度のスローペースで応募する日々を半年以上過ごしました。
初めての面接は不合格でしたが、面接官に「あなたは自分の息子と同い年だ。これからなんでもできる。きっと大丈夫だから、今後どうしたいのかじっくり考えてみたら」とアドバイスしていただき、自分の将来に希望を持つことができました。この方には今でも感謝しています。
アドバイス通り自分のやりたいことや望む生活をじっくり考え、ものづくりに携われること、専門職であること、転勤がないことの3つを条件に定めました。
転職エージェントを利用することも考えましたが「いまさら再就職なんてできませんよ」と笑われるかもしれないと勝手に恐れていたので(※もちろんそんなことはないはずです)、ハローワークに通って「未経験可」の求人票を探したり、インターネットで「未経験採用」と検索したりして仕事を探しました。
書類は、日用品メーカーとソフトウェアメーカーの2社に通りました。
日用品メーカーは、普段使っている商品をつくっている会社の研究開発職の募集でした。
商品が好きだったし、同じ研究開発職なので前職のキャリアが活かせるかもしれないと思っていました。面接で出会った人たちの人柄もよく、職場の雰囲気も合いそうで、面接を受けるたびに働きたい気持ちが大きくなりました。
ソフトウェアメーカーは、夫の勤め先の未経験者採用でした。
夫から「QAエンジニアって仕事があるよ、情報学を専攻してなかった人もいるよ」と聞いて興味を持ちました。夫の同僚や面接官の雰囲気、充実した研修制度から、安心して楽しく働くことができそうだと思っていました。
面接の結果両方から内定をもらい、後者に入社することを決めました。
会社の理念に共感し、自分が開発した製品によって楽しく働く人を増やしたいと思ったことも理由ですが、QAエンジニアという仕事をやってみたい気持ちも大きかったです。
面接官から勧められたソフトウェアテストの本はとてもおもしろく、次の面接までに全て読んでいました。
(ちなみに『知識ゼロから学ぶソフトウェアテスト』と『ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation』の2冊を勧められました)
またアジャイル開発やスクラムのことも知り、早い段階から品質の観点を入れる仕事はやりがいがありそうだとも思いました。食品開発者だったとき、レシピや製造工程がすべて決まってから「やり直し」と品質管理部から言われたことがあり、もっと早くからお互いに連携できたらいいのにと考えていたからです。
QAエンジニアとして働いてみて
毎日とても楽しいです。
Webアプリケーション、ソフトウェア開発、ソフトウェアテスト、担当製品など仕事をする上で知るべきことはたくさんありますし、チームメンバーと協力して製品をリリースする過程にも多くの学びがあります。1を知ると10の分からないことに出会えるので、学びたいことややりたいことが絶えません。
入社直後は分からないことだらけで、会議で出てくる単語の1割も理解できず、本当に自分にできるのだろうかと不安で仕方ありませんでしたが、社内の手厚い研修や勉強会、社外のイベント、豊富な専門書やブログなどのおかげで少しずつ知識を増やすことができました。
学べる機会がたくさんある環境に感謝しています。
また会社都合の転勤もないので、自分の将来の生活を思い描きやすいのも嬉しいです。
働く時間や場所の柔軟性も高いので、趣味や家族との時間も取れており、健康的な生活を送ることができています。
ちなみに、性別を理由に嫌な思いをしたことはありません。
一緒に働く人を尊重する文化が職場に根付いていることが大きな理由ですが、社内のQAエンジニアの半数が女性であること、ソフトウェアテスト界隈のイベントに女性の参加者がある程度いることも影響していると思います。
でも一方で、イベントの登壇者やいわゆるマネジャー層に女性が少ないな、とも思っています。
まだ自分の中で考えがまとまっていませんが、より良い未来のために自分ができることを考えて行動していきたいです。(このブログもその1つです!)
おわりに
「未経験からQAエンジニアになり、毎日楽しく働いている女性がいる」という事実が、誰かの励みや参考になれば嬉しいです。
QAエンジニアはとてもやりがいのある楽しい仕事だと思っていますが、あまり知られていないようなので、今後も微力ながら発信していきたいと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました!